ヒマワリは本当に太陽を追う? 若い茎の成長と光の実験

黄色い花が開いたヒマワリが並ぶ畑。 植物
花が開いたヒマワリ畑。写真:Jeffrey Grospe / Unsplash(Unsplash License)。

ヒマワリは、朝から夕方まで太陽を追いかける。よく知られたこの話は、どの成長段階の株を見るかで答えが変わります。若い株は昼に東から西へ向きを変え、夜には東へ戻ります。一方、成熟した株では追跡が止まり、花の面は東向きになります。満開の花が毎日ぐるりと回り続ける、というわけではありません。[1]

では、若いヒマワリはどうやって向きを変えるのでしょう。鍵になるのは茎の伸び方です。さらに、2023年の研究では、屋外で太陽を追う仕組みが、室内で一方向の光へ曲がる仕組みとは単純に重ならないことも見えてきました。[2]

若いヒマワリは昼に東から西へ向きを変え、夜に東へ戻る。開花後は追跡が止まり東向きになる成長段階の模式図
若い株と開花後の比較模式図。太陽を追う動きを観察するときは、花が咲く前の株かどうかも確かめます。

茎の片側が多く伸びると、向きが変わる

ヒマワリの向きの変化を支えるのは、茎の東側と西側で、伸びる量が異なることです。昼には東側が多く伸びるため、茎の先は西へ曲がります。夜には西側が多く伸び、先端が東へ戻ります。[2]

片側が長くなれば、そちらが曲がりの外側になる、と考えると関係をつかみやすくなります。昼と夜で伸び方の差が入れ替わることで、若い茎は往復するように向きを変えられるのです。茎の付け根に回転軸があって、花だけを回しているわけではありません。

東を左、西を右に固定した模式図。昼は東側が多く伸びて西に曲がり、夜は西側が多く伸びて東に戻る
昼と夜の茎の伸び方。東西の位置を固定して比べると、多く伸びる側と曲がる向きの関係が分かります。矢印の長さは成長量の実測値ではありません。[2]

夜に東へ戻るときも、太陽を見ている?

夜には太陽が見えないのに、翌朝に備えるように東へ戻る。この動きには、植物が持つ体内時計も関わります。2023年の論文が紹介する先行研究では、屋外で太陽を追っていた株を、頭上から一定の光を当てる環境に移しても、東西への往復が数日間続きました。[2]

光の来る向きが変わらなくても、しばらく動きが続くことは、内部のリズムが働く証拠になります。ただし、光の情報が不要という意味ではありません。日々の光と内部のリズムが、成長のタイミングを整えていると考えられます。

「光へ曲がる」と「太陽を追う」は同じ仕組みか

植物が光の方向に応じて曲がって成長する性質を、光屈性(こうくっせい)といいます。室内で育てた植物が窓の方へ傾く様子を思い浮かべると、ヒマワリの動きも同じ説明で済みそうに見えます。

そこでBrooksらは、ヒマワリを二つの環境で調べました。一つは室内で一方向から青い光を当てる条件、もう一つは屋外の日光を受ける条件です。茎の曲がり方を記録するとともに、茎の両側で、どの遺伝子の情報がどれほど読み出されているかを比べました。これは、成長に関わる働きの違いを探る手掛かりになります。[2]

室内で青い光に向かって曲がる茎と、屋外で太陽を追う茎では、遺伝子の働くパターンが大きく異なっていました。外から見た動きが似ていても、その内側で働く仕組みまで同じとは限らないのです。

ただし、これは遺伝子の働き方を比べた結果です。青い光を感じる特定のタンパク質が不要だと証明したわけでも、成長を調節するホルモンが無関係だと示したわけでもありません。研究者は次に、屋外で受ける光の色を変える実験へ進みました。

青い光や赤い光を減らしても、追跡は続く?

太陽の光には、さまざまな波長の光が含まれています。もし特定の色の光だけが追跡に欠かせないなら、その光を大きく減らすと動きが崩れるかもしれません。

実験では、室内で育てた発芽から約2週間のヒマワリを、日没後に屋外の箱へ移しました。箱の壁と屋根には、通す光を変えるフィルターが使われています。透明な箱、青色光を減らす箱、赤色光を減らす箱の3条件を比べました。[2]

屋外の実験箱。Aは透明、Bの橙色フィルターは青色光を減らし、Cの青色フィルターは赤色光を減らす
光の条件を変えた実験箱。Aは透明、Bは青色光を減らす箱、Cは赤色光を減らす箱です。箱の見た目の色と、減らす光の色は異なります。画像:Brooks, Atamian & Harmer(2023)、補足図9、CC BY 4.0。画像内容の変更なし。

写真の橙色の箱は「青い光を減らす」条件です。反対に、青く見える箱は「赤い光を減らす」条件。フィルターそのものの色を、取り除く光の色と読み違えないことが大切です。

結果は、3条件すべてで太陽を追う動きが始まり、その後も続くというものでした。日中に西へ向きを変え、夜に東へ戻る周期的な動きは、青色光や赤色光を大きく減らした箱でも見られました。[2]

3条件で共通したこと、違ったこと

共通したのは、太陽を追う周期的な動きが残ったことです。一方、青色光や赤色光を減らした条件では、夜間に余分な揺れが加わり、茎の伸び方も変わりました。「どの箱でもまったく同じ動きだった」という結果ではありません。

ここで気をつけたいのは、フィルターが一つの色だけを、ほかの条件を変えずに取り除く道具ではないことです。青色光を減らす箱では紫や紫外線も弱まり、赤色光を減らす箱では遠赤色光(えんせきしょくこう)という、赤より波長の長い光も一部弱まりました。箱の中に届く光の総量も異なります。

そのため、この実験を「青い光も赤い光も必要ない」と読むのは行き過ぎです。研究者は、ヒマワリの追跡に複数の光を感じる仕組みが関わる可能性を示す結果と考えています。どの経路がどの場面を担うかは、さらに調べる必要があります。

ヒマワリを見るときは、花だけでなく茎にも注目する

ヒマワリの「太陽を追う」という一言の中には、若い茎の成長、昼夜のリズム、いくつもの光の情報が関わっています。花が太陽を見つけて首を回す、というイメージから少し離れると、植物の動きが違って見えてきます。

観察するときは、まず若い株か、花が開いた株かを分け、東西の方角と時刻を記録すると比べやすくなります。同じ株を朝と夕方に見るなら、花やつぼみの向きだけでなく、上部の茎の傾きも手掛かりになります。一枚の写真で花が向いている方向だけを見ても、一日中追跡しているかどうかは判断できません。

今回の研究が詳しく調べたのは、特定の系統の若いヒマワリです。すべての品種や生育環境で同じ動きになると決めつけず、どの株を、いつ、どんな光の下で見たかをそろえて考えることが、仕組みを理解する第一歩になります。

もっと知りたい人へ・参考文献

光を変えた実験は、原著の図4と補足図9を見比べると、条件と結果の関係を追いやすくなります。

[1] 若い株と成熟株の違いを知る
Atamian, H. S. et al. (2016). Science, 353, 587–590. DOI: 10.1126/science.aaf9793
Circadian regulation of sunflower heliotropism, floral orientation, and pollinator visits(著者研究室による抄録紹介)

[2] 室内と屋外の比較、光を変えた実験を詳しく読む
Brooks, C. J., Atamian, H. S. & Harmer, S. L. (2023). PLOS Biology, 21(10), e3002344. DOI: 10.1371/journal.pbio.3002344
Multiple light signaling pathways control solar tracking in sunflowers

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